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『有頂天家族2』先行上映会レポート

2017年4月7日(金)。TOHOシネマズ六本木ヒルズにおいてTVアニメ『有頂天家族2』の先行上映会が開催されました。当日は『有頂天家族2』第一話、第二話に加え、『有頂天家族』(第一期)第十三話の振り返り上映、キャスト・スタッフによるトークショー、第一期、第二期でオープニング主題歌を担当したmilktubによるライブなども行われました。ここではその様子をレポートします。

会場となったのは、TOHOシネマズ六本木ヒルズで最大の席数を誇り、独自規格によるラージスクリーン「TCX」で迫力のある映像を体感できる「スクリーン7」。エントランスには20時の開演前から多くのファンが集まり、「スクリーン7」の出入口置かれた「有頂天家族2 モフモフぬいぐるみ」や「有頂天家族金閣銀閣招き猫セット」がファンの皆さんをお出迎えしていました。

開演の20時になると、まずはMCの栗林さみさんが登壇して挨拶。その後は早速『有頂天家族』第十三話、『有頂天家族2』第一話、第二話が上映されました。

スクリーンではお馴染みの下鴨四兄弟や赤玉先生、新キャラクターの二代目、天満屋などが画面を所狭しと動き回り、狸、天狗、人間たちの思惑が交錯する有頂天ワールドが展開。身を乗り出しスクリーンを見つめるファンも多く、『有頂天家族』第十三話はもちろんのこと、第一話、第二話という序盤ながら最後まで目が離せない『有頂天家族2』の展開に、グイグイと惹き込まれていました。上映が終わると大きな拍手が沸き起こり、「早く続きが見たい」と第三話以降に期待を寄せる感想も聞こえてきました。

上映後はキャスト・スタッフによるトークショーのコーナーに。大きな歓声と拍手とともに二代目役の間島淳司さん、弁天役の能登麻美子さん、『有頂天家族』シリーズの原作者である森見登美彦先生、アニメ『有頂天家族』『有頂天家族2』の吉原正行監督が登壇されました。

トークショーでは「いやぁ諸君。何しにここに来たのかね」(間島さん)、「面白くなるわねぇ、矢三郎」(能登さん)と、それぞれのキャラクターになりきっての挨拶で会場を盛り上げるキャストのお二人。ちなみに間島さんは二代目を意識したホワイトのコーディネートで、能登さんは「有頂天家族2 モフモフぬいぐるみ」の矢三郎を抱えて登場されました。

まずは『有頂天家族』第十三話のことを聞かれると、「好きなシーンは沢山あるのですが、中でも四兄弟と母の電話のシーンは思い出深いです。特に母が矢二郎に『私にはお前のことは分かっているもの』と優しく言うセリフを聞いて、『有頂天家族』は家族の物語なんだと改めて感じました。アフレコ当時も後ろで聞いていてウルウルとなりました」(能登さん)。

それを聞いた森見先生は「原作を執筆している時はアッサリと書いたシーンなんですけど、映像になると原作者なのにグッときましたね」と振り返っていました。

また吉原監督からは「最終話は現場が大変だったという辛い記憶しかない(笑)。実は最後の下鴨神社のシーンで鞍馬天狗たちが横切るカットがあるのですが、実はあれ、全員帝金坊なんですよ。原画では他のキャラクターたちも描かれていて、本来は全員別々だったのですが、何かの手違いで帝金坊しかあがってこなかった。追加で描く時間もなくて、サングラスをかけて黒いスーツを着た帝金坊を増やしました(笑)」という当時の裏話も聞くことができました!

第二期から参加の間島さんは第一期について聞かれると「当然第一期は見たのですが、アフレコが始まると、二代目と係わり合いが深いキャラクターが気になりました。二代目的には矢三郎ですね」と発言。それを聞いた能登さんから矢三郎のヌイグルミを渡される一幕もありました。

そこから話題が第二期に移ると、まずは森見先生から「本来であれば第一期のアニメが放映されている絶妙のタイミングで原作の第二部を出版して、そのまま『じゃあこれもアニメにしよう』という流れを想定していたのですが、そんなことができるわけもなく(苦笑)。いつ出るんだと言われながら、延びに延びて、皆忘れた頃に完成したので本当に皆さんには申し訳ないと思っていますし、これをアニメにしてほしいなんてどの口が言えるんだと。なので、お話をいただいた時は本当に嬉しかったです。でもそれでまた第三部に対するプレッシャーが……(笑)」というお話があり、これには会場も大爆笑。

映像については「二代目や天満屋といった物語を動かしてくれる新しいキャラクターが加わったので、そこを中心に盛り上げながら作っています。ただキャラクターたちを理解するまでが大変。特に森見先生が描くキャラクターは難しいというか、もう訳が分からない(笑)。唯一分かっているのは、みんないいヤツということ。これは森見先生にお会いした時から、先生の人柄が作品に出てると感じたんです。実は先生とお会いしてから作りやすくなりました」(吉原監督)と解説があり、それを受けて森見先生は「原作者は基本ひとりで作品を作るので、キャラクターたちも自分が違和感を覚えなければ細かく分かっていなくても動かせるんです。でも監督は“この人物はこういう理由でこういう風に動いている”ということを感覚ではなく、説明できなきゃいけない。それを第一期の時から傍から見て『監督というのはなんて大変な仕事なんだ』と思いました」とコメント。

キャラクターたちを実際に演じるキャストのお二人からは「二代目と絡むシーンは今までクールでどこか掴みどころのない弁天が、感情をむき出すというか、人間らしくどこか生々しさを感じる部分が見えると思いました」(能登さん)。「二代目は何を考えているのか分からない部分が多く、またそれがベースになる。そうなると感情を込められなくて芝居をしている気がしないんです(笑)。ベースのキャラクター作りが一番苦労しましたね。ただ赤玉先生との絡みでちょっとだけ感情が垣間見えたりもするので、そういう部分で徐々に変化をつけていきました」(間島さん)と、演技についての話も聞くことができました。

さらに新キャラクターたちについて「第一部(『有頂天家族』)で淀川(教授/淀川長太郎)さんを人間側の重要キャラクターとして配置したんですけど、第二部(『有頂天家族2』)になって、淀川さんは狸たちの味方になった。そうすると狸側も天狗側にもいろいろなキャラクターがいるのに、人間側、金曜倶楽部側はちょっと寂しくなってしまったんです。そこで寿老人の代わりになって動いてくれる代理人みたいな人物ということで、モヤモヤと考え始めたのが天満屋。そこに果心居士(室町時代末期に実在したと言われる幻術師)や、オノレ・ド・バルザック(19世紀フランスの小説家)の『ゴリオ爺さん』という小説に登場するヴォートランという魅力的な悪人などいろいろなものを混ぜながら作っていきました。実は僕も最初よく分からなくて、外側から徐々に埋めていくという作り方をしていましたね。また二代目は第一部を書いていた時から第二部に出そうと思っていて、原作の第一部でもちょっと触れています。先ほど間島さんがおっしゃったみたいに、二代目は第一部の時の弁天のように、何がしたいのかよく分からない、自分も分かっていないという人なんです。そういう人と弁天を対峙させた時、弁天がどう変わるか。二代目は第一部の弁天と同じ立ち位置にいる人であり、弁天と二代目は対になる関係なんですよ。その関係は書きながら考えていったのですが、能登さんが感じられたように、弁天が感情をむき出すようになりました」(森見先生)と、キャラクター制作秘話を語っていただきました。

また「監督は弁天を非常に大切に思ってはるから、第二部を書く時にあまり弁天がくちゃくちゃになると申し訳ないなと思いながら、でも書いてしまった(笑)。監督がどう思ってはるか分からないですけど。ちょっとやりすぎたかなって」(森見先生)と振られると、「肩入れできるキャラクターには見たくないものが絶対に存在しているんですよ。ただ今回(『有頂天家族2』の弁天)は意味があると思ったので、そこに至るまではとにかくいつも通りに演技していただこうと。実は二代目や弁天は狸たちに抜かされているというか、四兄弟のほうが成長してしまっている。でも人間らしさをむき出してくれるキャラクターは重要で、愛せるキャラクターになっていると思います。僕自身も弁天はもちろん、二代目も最終話にかけて好きになっていくし、そういうキャラクターだと思います」(吉原監督)。

ここでしか聞けない原作やアニメについてのトークには、会場を訪れたファンの皆さんも真剣に耳を傾けており、笑いあり、涙(?)ありのトークショーは大盛況のうちに幕を閉じました。続いて『有頂天家族』『有頂天家族2』のオープニング主題歌を担当したmilktubのミニライブがスタート。

「3年ぶり2回目のアニメの主題歌です。『有頂天家族2』のために心を込めて作りましたので聞いてください、『成るがまま騒ぐまま』」(milktub /bambooさん)と曲紹介がありライブがスタート。出だしから全力で歌うbambooさんに、会場は手拍子でレスポンス。曲にあわせて大いに盛り上がる会場をさらに沸き立たせようと、ステージを駆け回りパフォームするbambooさんの姿は、まさに有頂天という感じでした。

全力疾走で歌いきったあとのMCでは「第二期の制作が決定した時、実はまだ主題歌のオファーはなかったんです。でも自分も『有頂天家族』の一ファンなので、オファーが来なくても第二期をイメージした曲を勝手に作ってアルバムに入れようと思っていました(笑)。でも縁あって担当することになり、吉原監督ともディスカッションをして曲を作り上げ、自分の中でも思い出に残る一曲となりました。PVでは作品にちなんで、いろいろと化けていますので、そちらも見てください」とコメントがありました。

続いて第一期のオープニング主題歌である「有頂天人生」が披露され、興奮さめやらぬ会場をさらにヒートアップさせるべく、bambooさんはステージを降りて客席に移動しながら熱唱! このサプライズには会場のファンも終始喜色満面でした。

milktub色に染まったライブが終わると栗林さんとゲストの4名が再び登壇。「『成るがまま騒ぐまま』を生で聞いて、いよいよ『有頂天家族2』の幕があがるんだと鳥肌の立ちました」(能登さん)。「bambooさんは声が素敵ですよね」(間島さん)。

その後は栗林さんから作品関連の最新情報の告知があり、TVアニメを中心として様々な展開が予定されていることが発表されました。

そして最後はゲストの方々から……

「僕自身も第二期の放映を楽しみにしていました。テレビの前で小籠包をかぶりつきながら楽しみたいと思いますので、皆さんもぜひ楽しんでください」(bambooさん)

「第一期と同様にスタッフが想いを込めて作っていますので、ぜひ見ていただければ嬉しいです」(吉原監督)

「スタッフさんの想いや愛情が沢山込められて、丁寧に紡がれた物語がいよいよ始まりますので、どうぞ最後まで楽しんでください」(能登さん)

「二代目は第二期からのキャラクターということで、受け入れていただけるか非常に心配しておりました。以前からの『有頂天家族』ファンの方たちにも受け入れていただけるよう頑張っていきたいなとは思うのですが、実はもうアフレコが終わってしまったので、演技に関してはどうしようもありません(笑)。なので皆さんの優しい気持ちで支えていただければと思っております。ぜひ最後まで見てください」(間島さん)

「いよいよ放映が始まるということで、僕も家族と一緒に毎週楽しみに見たいと思います。アフレコはすべて終わりましたが、監督とスタッフの皆さんにはまだ最後の戦いが残っています。監督、スタッフの方々にはお体だけ気をつけて最後まで頑張って……頑張ってというのもおこがましいのですが、無事に完成するのを祈っております。ぜひ皆さんも毎週放送を見ながらその点応援していただけると嬉しく思います」(森見先生)

と挨拶。そして最後に、『有頂天家族』イベント恒例の掛け声で締めることに。スタッフ、キャストの皆さんの「面白きことは~」というコールに、会場は大声で「良きことなり!」とレスポンス。こうして約二時間、充実の先行上映会は終了となりました。

関連情報

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TVアニメ『有頂天家族2』オープニング主題歌「成るがまま騒ぐまま」(milktub)、TVアニメ『有頂天家族2』エンディング主題歌「ムーンリバー」(fhána)のCDが4月26日同時発売予定!

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